その建物の外にでると、
雪の積もった無人の住宅地、見上げるように空を見る、
静かな空だった。

この、降り積もった雪の上に更に水が流れ込んできたらどうなるんだろう？
連れの彼女は「あったかいかな？」ととぼけたことをいう、
水に濡れるのが免れないだろうけど、「体温より暖かくないと辛いよ、」
やっぱり高台に避難した方がよさそうだ…

そこの家の中に入ってよじ登ってみた。
床上から4m以上はないと辛い、
彼女を肩車して天袋の板を押し上げてもらう。
開いたので中に入った。

天井裏から町並みを眺めてみた、
屋根が並んでいる、
避難だけならここまで登ればいいか、と思う、
どのくらい持たせればいいんだろう、

ふと右側に顔を向けると赤十字のﾏｰｸの帽子をかぶったﾋﾄが
同じ棟の別の部屋の窓から顔を出していた、
こっちに気付いた、
妹だ。

僕らの部屋のﾄﾞｱが開いた、こっちにはｵｶｧｻﾝもいる、と呼んでる、
生きてたの？と喜んで満面の笑みだった。