電車で着いた大阪南端の駅から外に出ると閑静な住宅地。
田園の中、踏み切りを越えて少し歩いて別の線の駅が見える。
その駅に行く、市電並みの短い編成の線に乗り換える、奈良の方へ伸びているらしい。
2駅ばかり向うの駅に下宿をとっていた。歩いても行けそうな距離だった。

自分の下宿の最寄り駅は始発駅よりだいぶﾏｼな作りだったが
午後5時過ぎというのにまだ灯かりが点いていなくてﾎｰﾑに続く階段も暗くて転びそうになる。
ﾎｰﾑには何人かﾋﾄが電車を待っている。
明りが点いていないのは終電も出た後か？と思ったがそうでもないらしい。
しかし、始発駅に行くには次の電車を待つより歩いた方が早そうだと思って歩くことにした。

住宅地の真ん中を通って行く。一緒にいたのはﾕｳｺさんだった。
途中にｽｰﾊﾟｰがあった。買い物もしておかないと。のんびり歩いてるせいかﾕｳｺさんが急かす。

下宿に戻るとﾊﾙｵからの着信履歴が残ってることに気付く。
てゆうかあんたﾄﾞｱの外にいるし!電話の後ｽｸﾞ家に来たらしい、下宿に入ってくる。
今度付き合うならｴｯﾁなしで!と頑なに拒絶したはずなのにｲﾁｬｲﾁｬに流される。
寸でのトコでやめさせてなんだかんだ逃げ口上云って外に出た。

6畳1Kの和室のｸｾに外観は小さなｼﾃｨﾎﾃﾙみたいな建物だった。
入り組んだ路地の中にｴﾝﾄﾗﾝｽがある、その出入り口の道を挟んだ対面に銭湯があるが、
同じ下宿を借りているらしい女性2人が出てくると銭湯の明りが消えた。
…今日は風呂入れないや、と思ってｶﾞｯｶﾘする。
ｴﾝﾄﾗﾝｽを出て左に歩いていくと2車線の幹線道路がある。
駅に行くにはそこを右に曲がる、その角に自分の下宿と同じ様なｼﾃｨﾎﾃﾙな建物がある、
すれ違った母子連れは「泊まるならｺｺよね、」と云ってる。女性専用で新築だからだ。
しまった、ﾎﾞｸは評判の悪い方に泊まってるらしいぞー
左に曲がって、駅と反対方向へ幹線道路を歩く、信号の手前の脇道に入ると
そこは小料理屋とか屋台とかが並ぶ飲食街になっている。
路地の中ほどに丼ﾓﾉ飯屋があったが閉店の時間になっていた。
すぐ隣の格子戸の小さなのれんのあんみつ屋がまだやってるよ、と云うので入ってみた。
中は正面が陳列棚ｶｳﾝﾀ-でその向うには調理師達が休憩中、
陳列棚の中にはﾄﾞﾘﾝｸ類が並んでいる、
右手にはせんべいやとかｳﾅｷﾞやとかそういう系の小さな調理場があって
職人が1人待機している。
丁度出前に行く所で、陳列棚のｶｳﾝﾀｰの上にお盆にｶｯﾌﾟ容器が10個ばかり並んでいる。
「持ち帰りできますか？」と訊ねると「容器を返してくれるならできるよ」というので頼むことにした。
腹が減っていた。甘い物が食べたかった。中身をｵﾘｼﾞﾅﾙでｾﾞﾝｻﾞｲとか雑煮を作ってくれるらしい。
白玉と栗とあずきﾍﾞｰｽは欠かせないがﾄｯﾋﾟﾝｸﾞにはいろんな物が用意されていた。
お茶とかよもぎのふ菓子とか…なかなかｵｰﾀﾞｰを決められずにいると
店の外にあるｼｮｰｹｰｽに案内されて説明してくれた。親切な料理人だ。


どこかのﾛﾋﾞｰで演奏中の3人組(ｱﾄﾞｩｰっぽい)を
ｷﾖｶ、女、■ﾒの女子達と供にはしゃぎながら見てた。
それが終わったのでこのﾎｰﾙの中でﾊﾟｰﾃｨの準備をしようかと思ってた矢先、
ﾛﾋﾞｰの奥にはﾍｯﾄﾞと同じ作りのﾗｲﾌﾞｽﾍﾟｰｽがあって、
そこでいよいよ本番のさっきのが始るって云うんで見に行った、が、
ｻﾎﾟｰﾄと称して有名なﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰやらﾐｭｰｼﾞｼｬﾝやらがﾊﾞｯｸにはいった。
…いや、それだとｱﾄﾞｩじゃないんじゃん?!
なんか食い物にされてんでｱﾄﾞｩ!!
ﾑｶﾂｷながらもｽﾃｰｼﾞ左側はいつものｱﾄﾞｩなので手を伸ばしたら彼らはいなくなった。
振返ると先のﾛﾋﾞｰで3人が演っている。飛ばされてる。
降りていってﾛﾋﾞｰで見るとなんだかｶﾗｵｹで唄わされてるってｶﾝｼﾞがしてた。
だけどこれがｱﾄﾞｩだよねーってﾎﾞｸらは少し安心した。

ﾎﾝﾄにｲﾍﾞﾝﾄは終わってしまったので今度こそﾎﾝﾄに打上げよう、と
そのﾛﾋﾞｰで支度しようと見回すと隅っこにﾊﾙｵがいた。
呼ぶと犬のようにｷﾗｷﾗしてやってきた。