何年ぶりかの登校日。
土手の上を歩く。
土手の両側には田園、土手の向こうには学校、日本家屋(母の実家)の。
道にはまばらだった人影が、だんだん密度を増していく、
ﾔﾏﾓﾄと、ﾁｰﾁｬﾝ、ｶﾞｯｺでつるんでたｸﾞﾙｰﾌﾟ、

入口を入るとｶﾞﾚｰｼﾞは体育館で、入口の対面、ｱﾘｰﾅを突っ切ると
階段状のベンチが並んでいて、その真ん中を通路がある、
通路を登るとそこは屋根裏の勉強部屋になっていて、
2人はとりこぼした新しい論理数学のﾃｷｽﾄを開いてあーだこうだ議論していた。
勉強机の一番上の引き出しを開けると在学中に隠しておいた×××が出て来た。

体育館の方から下手なｼﾞｬﾑ音が聞こえてくる、
そろそろ準備ができたようだから行っておこうよ、
まだﾃｷｽﾄを睨んでいる2人にそう云って屋根裏を出た。
ｱﾙﾌﾟｽのﾍﾞﾝﾁに座る、ｸﾗｽﾒｰﾄだった富山のﾔﾂを筆頭によくつるんでた3人が既にいた。
そう言えば飲み物買ってくるの忘れたなぁ、
買いに行きたいけど…ｺｺで降りていってｱﾘｰﾅを突っ切って外に出たら
ｱｲﾂら怒るんだろうなぁ、
そう思って今ｱﾘｰﾅで演奏してるｸﾗｽのにぎやかｸﾞﾙｰﾌﾟを見た。
なんでかそういう、ｸﾗｽの連帯とかまとまりとか、
似非友情のｸｾに大事にしたがるんだよなぁ、そういう連中って…

ｾｸﾊﾗもあるけど男女平等というか、
女子に男子と同じ力量を(体育も含めて)求めたこの学校は良かったかもしれない、
そんな事を富山のﾔﾂに語りながらなかなか始まらない本演奏を見ている。


隠しておいたﾓｽｸﾞﾘｰﾝの封筒に入ったﾃｰﾌﾟは、
ｺｲﾂらの演奏のﾃﾞﾓだった筈だった、
軽ﾄﾗｯｸに仕込まれたﾄﾞｰﾙﾊｳｽの屋根裏の勉強机の引き出しからそれを取り出した。
(田舎の)自分の家の前に止まったままのﾄﾗｯｸ、
4日分の指令ﾃｰﾌﾟがある筈で、勝手に封を切って中を確かめる、
納屋の方からﾄﾗｯｸの運転手を含む男性4人がやってきた。
その中にﾎｿﾔがいると嬉しいな、と思って探したけどいなかった、
かわりにﾎｿﾔの金髪の友人が近づいてきて車庫に案内してくれという、
車庫にあるｲﾝﾀｰﾎﾝでﾄｲﾚの中を呼び出した。
車庫は虫の巣だらけになっていて、壁には羽虫やらﾑｶﾃﾞやらいろんなモノがひしめき合っていた。
祖母が死んだら、この家は誰が守るんだろう、そんな事を考えて哀しくなる、
車庫には地面から這い上がって来たｱﾘの巣までできていて、かなり末期な状態だ、
車庫のすぐ脇にある階段の下でﾀﾞｲﾆﾝｸﾞﾃｰﾌﾞﾙをﾘﾅ嬢とﾕｳｷ嬢で囲む。
ﾀﾞｲﾆﾝｸﾞﾃｰﾌﾞﾙの上でも弱肉強食があって、
体長35cmのｶﾌﾞﾄﾑｼがｸﾓやｱﾘを食べていた、そのｶﾌﾞﾄﾑｼをﾘﾅ嬢は手掴みで、
外に放り投げた、
空になった前菜のﾃﾞｨｯｼｭで飛んで来たｺﾞｷﾌﾞﾘをはたきおとす、
次の標的はどいつだ？！
意気揚々として構えてみたがｺﾞｷﾌﾞﾘは足長蜂に変化して鴨居に止まった。
ﾔﾊﾞｲ、こいつはﾔﾊﾞｲ、刺されると痛いし!針長いし!
早くこいつのｾｰﾌﾃｨｿﾞｰﾝから出よう、急にﾍﾀﾚになってしまった僕らだった。